【初心者向け】固いボルト/ナットの外し方/コツ【メンテナンス/カスタム歴10年の男が語る】

  • 2021年2月2日
  • 2024年2月3日
  • バイク
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今回は、「固いボルトやナットの外し方」のコツについてまとめていこうと思います。

特にレブルやGN125Hのカスタム/メンテナンスについて発信していると、意外と「メンテナンス初めてです!」とか、そもそも「バイクに乗るのが初めてです!」という方も意外と多くいらっしゃるんですよね。

一方、私の発信としてはそういったトコロは前提として、ブログや動画を発信していた、というトコロがありました。というわけで今回は、原点に立ち返って主にバイクメンテナンス初心者の方向けに「固いボルトやナットの外し方」についてお伝えできればなと思っております。

メンテナンスが難しいと思う理由の1つには、やはりボルトが固くて外せないという点があるかなと思いますので、その課題を解決できればと思います!

今回の内容ですが、主に4部に分かれています。

所謂六角ボルト、キャップボルト、ばねネジ、など、それぞれについて外し方のコツがあるので、それぞれの単元についてフォーカスしていきつつも、基本的な点はそれぞれ共通している所もありますので、

  • 共通的に意識すべきこと
  • 六角ボルト/ナットの取り外しで注意すべきこと
  • キャップボルト(六角穴付きボルト)の取り外しで注意すべきこと
  • なべネジ(プラスのネジ)の取り外しで注意すべきこと

という章分けでやっていこうと思います!

今回は「特に錆びているわけでもなく、比較的新しい車両なんだけど、純粋にボルト/ナットが固い」というケースを想定しています。回したい部分が固着していたりする場合の外し方については下記にまとめていますので、参考になさってください

[2024/02/03更新]外れない/固いボルト(ナット)の外しかた。5つのポイント!!

Youtubeでもレブル250/グラディウス400/GN125の情報を発信してます! (登録してもらえると超喜びます!!)

固いボルト/ナット外し – 共通的に意識すること

まずはボルト/ネジの種類に関わらず、固いボルトナットを外すために意識しておくことについて触れていきます。

精度の低い工具は使用を避ける

ボルト/ナットを外すにあたって、工具は激安中華製品であったり100均に売っているようなモノは使用を避けた方が良いです

固いボルト/ナットが相手ですので、ボルト頭などにそれなりに負荷をかけることになりますが、この時に精度が悪いとボルトなどにダメージが加わっていきます。外れないだけでなく、ダメージを加えてしまうんです…

入門用として激安/100均工具を購入したくなる気持ちはとても理解できるのですが、最低でもホームセンターのプライベートブランドのセットレベル以上の工具は使用したいです。ホームセンターに行くと、大体自社ブランドのレンチセットなど(10mm~19mmの6本組とか)が、1000円ちょっとで購入できたりします。

「これからバイク整備で生きていくんだ!」という方からすると、もっとハイブランドの工具を先行投資として購入しておいた方が良いかと思いますが、高くなりすぎますので、メンテナンス入門としては、この位のレベルの工具を最低限揃えると良いかと思います。

柄の長い工具を使用する

小学校の理科、中学校の物理などでやったかもしれないですが、基本的に力というのは回したい対象物から距離が離れていればいるほど回しやすくなります。直感でなんとなく分かってるかと思いますが、詳細はこのようなカタチだそうです。

というわけで、柄の長い工具を使用した方がボルト/ナットは外しやすくなります

「ボルト/ナットが固くて外れない…!!」と思っている方は、そもそも柄の長い工具を選んでおく、というのは大きなポイントになります。(これはガチです)

一般人の3倍の力を持つマッチョが10cmの柄を持つ工具を使ってとあるボルトを外した時のモーメントは、一般人が30cmの柄を持つ工具を使うのと同じ力になります。

暫定対応として、メガネレンチによるエクステンションによって柄の長さを稼ぐという手もありますが、工具に負担がかかりますのであくまで暫定用とし、基本的には柄の長い専用の工具を使用することをおススメします。

ちなみに、私も愛用している比較的お求めやすい柄の長い工具として、下記のようなスピンナハンドルがあります。

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こちらは380mmということで、一般的なラチェットレンチなどの倍ほどの長さがあり、通常トルクで締められているボルト/ナットを緩める程度であればまず困ることはありません。個人の体感では、100N・m程度までのトルクであればこの長さで大体こと足ります。

どうしても固い、もともとの締め付けトルクが高いような場所(一部バイクのフロントスプロケットやシャフト系など)は、さらに長い柄のものがあると安心です。

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私はSK11のスピンなハンドルを購入して使用しています。

ナット側を回せるなら、ボルト側よりナット側を回す方が良い

ナット
ナット
ボルト
ボルト

ボルトやナットは上記の画像の通りで、バイクや車のメンテナンスをDIYしようとしている方からすれば常識かなとは思いますが念のため…

固いボルト/ナットを外す時は、ナット側から攻めると意外と外せたりしますので、2方向から外せる選択肢がある場合はナット側に特に力をかけてみると良いかと思います。

古いバイクの整備の時は注意!ボルト頭をねじ切ってしまうリスク有り!

古いバイクの場合は、固いからボルトが外せないというよりも、錆などによりボルトの山とナットの溝が固着してしまっているから外れないということがあります。

こうした時は、ボルト自体がダメになってきていることが多く、強い力をかけてしまうとボルトのネジ頭がねじ切れてしまう可能性があります。ねじ切ってしまうと本当に後が大変なので、そうならないように下記の記事にあるようにイロイロとオマジナイをしてからボルトを外すようにするのが良いかと思います。

[2024/02/03更新]外れない/固いボルト(ナット)の外しかた。5つのポイント!!

撤退するのも1つの選択です!

ここまでは、基本的に自分で外すことにフォーカスしていましたが、どうしてもボルト/ナットが外せない場合は、素直に近所のバイク屋さんに行くのが良いかと思います。

付き合いのないバイク屋さんなら、断られる可能性も無くはないですが、それでも自分で無理やりやって舐めてしまうと本当に後が大変なので、撤退というのも選択肢に入れた方が良いかと思います。

私も1度だけ経験があって、VTR250のエキパイとサイレンサーの接合部のボルトがどうしても外れなくて(排気系のボルトは過酷な環境におかれていますので、固着しがち)、バイク屋さんに他のメンテナンスのついでにお願いしたことがあります。その時は問題なくやってもらえました!外す時は物凄い音がしました。

固いボルト/ナットの外し方 – 六角ボルト編

ボルト
ボルト

ここからは、ボルトの種類ごとの固いボルト/ナットを外すコツシリーズとなります。

まずは、バイクのボルトではかなりメジャーなパーツである「六角ボルト」からご説明させて頂こうと思います!

オープンスパナはNG!!

スパナ
スパナ

工具といったら、まず上記のような「スパナ」が思い浮かぶと思います。両口スパナやオープンスパナなんて呼ばれたりするものです。

基本的に、このタイプのスパナは使用してはいけません!(固いボルト/ナットを外すという文脈では)

いわゆるスパナは、2点でボルト/ナットを回そうとするため、力のかかり具合に偏りが生じます。よって、回転させる力が伝わりにくいですし、工具が接する2点に力が集中してしまいますので、固いボルトやナットを回す時は、ボルト/ナット頭にダメージが加わる可能性が高まります

また、スパナは基本的に全長が短いモノが多いため、回す力が得られにくいということで、モロモロマイナスポイントが多いです。

では、「スパナのメリットってなんやねん!」と思われるかと思いますが、

  • 全長が短いモノが多いため、柄の長いレンチでは回せないような場所でも作業ができる
  • コンパクトに収まるため車載しやすい
  • メガネレンチやソケットレンチ(ラチェット)などでは外せないような場所のナットなども外せる
  • クローズドなレンチでは回すことができないナットを回すことができる

というところですね。車載工具にも採用されたり、工具といえばこのレンチというイメージが(なぜか)広く普及しているため使用するケースが多いかと思うかもしれませんが、基本的には他の工具を使用した方が良いでしょう。

モンキーレンチはNG!!

モンキーレンチ
モンキーレンチ

モンキーレンチとは上記のような工具で、開口部の近くにネジのような仕組みが備わっているスパナです。これ1つの工具で様々なサイズのボルト/ナットを外すことができます。

そんな便利なものが…!!じゃあもうコレ1つでいいじゃん!」と思うかもしれませんが、ところがどっこい、そうは問屋が卸しません。

前述のスパナと同じく、モンキーレンチはやはり2点に力が加わるタイプなので、ボルト/ナット頭にダメージが加わる可能性が高まります

また、スパナよりもモンキーレンチの方が「ガタ」が大きくなりがちです。回すために力を掛けている間にモンキーレンチの口が若干だけ開いてきたりするんですよね。

ですので、スパナよりもさらにモンキーレンチの方が固いボルトを外すには不適といえます。(ただし、もともと遊びの多い安価なスパナと比べたら、カッチリ口を閉じたモンキーレンチの方がガタが少ないというケースはあり得ますが)

モンキーレンチは、そこまでトルクがかかっていないボルト/ナットの取り外しには便利なのですが、固いボルト/ナットに対しては使わない方が良いです。

余談ですが、私はモンキーレンチの比較的小型なものを購入し、バイクに車載しています。これ1つがツールバッグに入っていると、出先での思わぬトラブルにも対応できる可能性が高まります。

メガネレンチやソケットレンチがおススメ!!

メガネレンチ
メガネレンチ
ラチェットハンドル
ラチェットハンドル

NGシリーズが続いてきましたが、今度はOKモノです。

固いボルト/ナットを外す時は、メガネレンチ又はソケットレンチがおススメです。ソケットレンチの中でもスピンナハンドルと呼ばれるものは特に高トルクを掛けるのに向いています

スピンナハンドル
スピンナハンドル

何故メガネレンチやソケットがおススメかというと、

  • 前述のスパナ/モンキーレンチと異なり、ボルト頭の6点に対して力を均等に掛けることができるから
  • 一般的に、スパナよりも柄が長いモノが多い

という理由からです。

スピンナハンドル: 高トルクがかかっているボルト/ナットを緩めるのにとてもおススメ

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メガネレンチ: セットで比較的安価に購入することができてコスパ高

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ラチェットハンドル: カチカチ出来てボルト/ナットを回すのが捗る工具。アマチュアからプロまで幅広く使用されます

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メガネレンチはホームセンターのプライベートブランドの5,6本組が1500円程度で購入できますので、コスパ面ではおススメです。

ソケットレンチについては、一般的なソケット + ラチェットハンドルでもスパナよりは固いボルトに強いですが、固すぎるボルトに対してはちょっと心配です。ですので、ソケット + スピンナハンドルが固すぎるボルトにはおススメですね。50N・mを超えるトルクがかかっている部分については、ラチェットハンドルの長さでは緩めるのが難しいです。

固いボルトに対する緩めやすさ(力の掛けやすさ)はざっくり下記のような感じです。

ソケット + スピンナハンドル > メガネレンチ > ソケット + ラチェットハンドル >> スパナ > モンキーレンチ

ラチェットハンドルというのは、カチカチ頭の部分が回転して楽にボルト/ナットの脱着が出来るという便利アイテムです。コチラもソケットを使用するタイプの工具ですが、一般的に柄が短めになっているという点、構造的に強すぎるトルクを掛けるにはちょっと不安という点から、ケースバイケースですね。

ちなみに、価格的には下記のようなイメージです。

スパナ ≒ メガネレンチ ≒ モンキーレンチ < ソケット + ラチェットハンドル(セットで売ってることが多いので) < ソケット + スピンナハンドル

というわけで、コスパも考えた固いボルト/ナット外し向けというところでは、メガネレンチがコスパ的にはおススメとなります。

ボルトにしっかりかかっていることを確認(ズレたりしてないか)

さて、固いボルトを外すための工具を揃えるまではおおむねクリアになったかと思います。

今度は、いざ外す時の話でコツというか注意点となります。

レンチを対象のボルトにセットした時に、「それがしっかりとハマっているか、力をかけても大丈夫か」を改めて確認しましょう。特に、力を掛けて一旦外れずに再トライするといった時に、若干ボルトへのかかりが甘くなっていたりします。かかりが甘いままボルトを回そうとしてしまうと、ボルト/ナットの頭にダメージを与えてしまいますので、しっかりと確認しましょう!

固いボルト/ナットの外し方 – キャップボルト(六角穴付きボルト)編

キャップボルト
キャップボルト

次は、キャップボルトと言われる真ん中に穴が開いているタイプのボルトを取り外す際の注意点です。

六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)や、六角ソケット(ヘキサゴンソケット)といった工具にて取り外しができます。

回転中心に近い側はNG

六角レンチ

六角レンチについての解説となります。

六角レンチは、長さが異なる2つの辺があると思います。そのうちの、辺が長い側を持ち手にして回しましょう、という感じです。

上記の図でいくと、右上側の方をキャップボルトの穴にハメて、左下側の方を手でもって回す、ということですね。

というのも、もう皆さんお察しの通りボルトの回転中心から力を掛ける位置が遠ければ遠い程ボルトを回しやすくなります

ボールポイント側はNG

ボールポイント付き六角レンチ
ボールポイント付き六角レンチ

基本的に六角レンチは、穴に一直線となる角度でレンチを差し込まないといけませんが、若干斜めでも回すことができるようになっている製品があり、それが「ボールポイント」と呼ばれるモノです。

エンド部がちょっと玉っぽくなっているものですね。

コチラ側は、角度が一直線ではなくてもボルトを回転させられるというメリットはあるものの(結構有用です)、力を加えるには不向きですので、使用しない方が良いでしょう。というか多分回せないと思います。

穴にしっかりハマっていることを確認

地味にあるあるなのですが、キャップボルトの穴部分に錆とかゴミが溜まって、最後までハマりきらないことがしばしばあります。

この状態で力を掛けてボルトを回そうとしてしまうと、内側の穴にダメージを与えてしまう可能性があります。

ので、ゴミが内部に入っていないかを確認し、入っている場合はブロワーやパーツクリーナーなどでゴミを除去してからしっかりとレンチを挿し込み、ボルトを外すようにしましょう!

固いボルト/ナットの外し方 – なべネジ(プラス頭のヤツ)

なべネジ

最後は、皆さん1度は舐めたことがあるであろうアイツ、プラス頭のなべネジですね。私も過去何度かやってしまったことがあります…

基本的にはドライバーで外すことができるモノですね。

サイズが合っていないものはNG

なべネジには、実はサイズがあるんです!

整備に慣れている方からすると、何を当たり前のことをと思われるかと思いますが、意外と知らない方も居るようなので書いておきました。

大体2番というサイズを買っておけば、多くのケースではネジの脱着ができるかと思いますが、たまに3番が出てきたりして、こいつが意外と固かったりするんですよね。

そういった時に、サイズの合わないドライバーで力を掛けてしまうと、舐める可能性がとても高まります。

特になべネジは舐めやすいので、「ちょっとコレ以上力をかけたら危なそうだな」と思ったら、一旦手を引くのが良いかと思います。

コチラのページがとても分かりやすかったです。

回す方に力を掛け過ぎるのはNG

ネジを外そうとしているので、普通にネジを回転させる方に意識がいきがちかと思います。今までの六角ボルトやキャップボルトでは実際そうだったかと思います。

が、なべネジについては、その意識は異なります!

ネジを回す回転方向ではなく、ネジをドライバーで押し付ける(押さえつける)方向に力を掛けるのがなべネジを外すコツとなります。

固さにもよりますが、押し付ける力8 : 回転させる力2であったり、7:3であったり、ともあれ、押し付ける力の方に重点を置きます。

こうすることにより、ネジの溝を舐める確率をかなり減らすことができます。

一回舐めかけたネジの再利用はNG

これも割とやりがちかなと思いますが、舐めかけたネジの再利用は絶対NGです!

全く同じサイズのネジを調達するのは、確かに大変なんですよね。ホームセンターに売っているとも限らないですし。

しかし、「まあちょっと舐めかけてるけどネジ再利用するか」というその怠慢が、将来の貴方を苦しめることになります

これは実話です。私も何度もやっています。

というわけで、この点は特に意識されると良いかと思います。

ネジザウルスは意外と使える

ネジザウルスって聞いたことがありますか?

ペンチのような見た目の工具なんですが、舐めてしまったネジなどを外す工具になります。

これが、結構外れるんです!

なめる前でもトライする価値はありますし、なめてしまったら頼らざるを得ないのですが、ネジで困ったらネジザウルスは結構ありです。

1500~2000円程度で購入できたと記憶しておりますので、一家に1本あるととても安心ですね。

なべネジの外し方のコツをまとめると…

これまで、なべネジの外し方のNGポイントばかりを挙げてきましたが、では結局どうするのが良いのかについてまとめます。

  • ネジのサイズに合ったドライバーを使用する
  • ネジを外す時は、押し付ける力8 : 回す力2 程度の意識で取り外す
  • 舐めかけたネジは面倒でも必ず取り替える
  • 精度の高いドライバーを使用する
    • これはやはり重要です…バイクのメンテナンスでなかったとしても、普通に家庭用として使えますからね!
  • CRCを使う
  • 貫通式ドライバーを使用してハンマーで叩く

上記の内容をおさえておけば、なべネジを外す際に頭を舐めてしまう可能性をぐっと減らせると思います。

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