この記事は、主になべネジ(頭がプラスドライバーで回せるようになっているもの)を想定しています。そのネジの頭がなめてしまった場合の解決方法についてまとめたものです。
一部、なべネジではなく、六角ボルトの頭がなめてしまった場合にも適用することができます。
本記事は、なめかけの場合と、完全になめてしまった場合との2単元で種類分けしています。
ちなみに、硬くて外せないボルト/ナットの外し方は下記記事にまとまっています。
なめ始めの場合
ちゃんとサイズの合った/より精度の高い工具で
プラスネジなどは、意外とサイズを気にしないで使っている人がいるようです。
が、ちゃんとぴったり合うサイズがありますので、必ずそれを使うようにしてください。
プラスドライバなら一般的に、3種類のサイズがあります。
確かに、サイズが合っていなくても硬く固定されいなければ外せますが…やはりサイズは大事です。
また、100均のドライバーよりも、ホームセンターで売っている少し精度の良いものを調達して使用するというのも大事です。
ハンマーでたたく
ネジ/ボルトの頭を、釘を打つようにハンマーで叩きます。
詳しく説明はできませんが…とりあえず、溝間の固着を剥がすためのおまじないです。
このハンマー戦法ですが、実際かなり効果がありますので、なめてなくても硬いネジやボルトを外す時に試しておきたいポイントです。
潤滑剤を使う
潤滑スプレーを吹きかけて、十分に浸透させネジ/ボルトの回りを良くさせます。
硬くてどうしても外れない!!という場合は、グレードの高い潤滑剤を購入すると良いです。定番は呉工業のCRC 5-56ですが、最も高い効果あると評判が良いのはWAKO’Sさんのラスぺネです。
ネジ滑り止め剤を使う
ネジ頭とドライバーとの間の摩擦力を高め、ネジを外しやすくするという製品が存在します。
ネジ頭がなめ始めで、まだ頭が残っている場合には効果があります。
例えば、下記のアネックス(ANEX)ネジ滑り止め剤などが有名です。
完全になめてしまっている場合
ナットツイスターを使用する(ボルト/ナット用)★超おススメ!!
こちらは、なべネジではなく、六角頭のボルトがなめてしまった場合の対策です。
ソケットの様な見た目ですが、形状が特殊で、なめたボルト/ナットによく食いつくような形になっているようです。
なめた/破損しているボルト/ナット外しにはとても効果のあるアイテムです。
10mm用は下記。
12mm用は下記。
14mm用は下記。
17mm用は下記。
他にも19mm/21mmのラインナップがあるようですので、もし六角ボルトやナットが舐めたしまった場合で、フィットするサイズがある場合はこの製品の使用が本当におススメです。
(2024/02/10 追記)
品質はどうか不明ですが、セット商品もありました。もし複数サイズでボルト/ナットを外したいという場合はセットを買った方が良いかもしれません。
実際に舐めたボルトをナットツイスターで外してみた
私が保有しているグラディウス400というバイクがあるのですが、そのメンテナンス中にとある重要なボルトを舐めてしまいました…今まで、数多くのなめたボルトやナットと遭遇してきましたが、今回はその中でもトップクラスの固さで途方に暮れていました。
そんな時にこの製品に縋る思いで購入し、実際にトライすることになりました。ちなみに、結果は大成功でした。
コチラが今回の舐めてしまったボルトで、後述の「溝を作ってマイナスで回す」であったり、「CRCを吹いてハンマーで叩いて」といったことは全て実施済、日をまたいで何度も繰り返して…とやってみましたがNGという状況です。
このボルト頭は10mmでしたので、ナットツイスターも同じサイズのものを購入。なお、六角ボルトの頭が完全に無くなって9mmくらいのサイズになっていたと思いますが、結果としては10mm用で全然OKでした。
ナットツイスターをよく観察してみると、普通のソケットとは異なり、花びらのような見た目になっています。指で触ってみると、その溝が結構鋭利になっていて、ハンマーで叩くとその溝がしっかりとボルトに食い込んでいくという仕組みのようです。
で、このナットツイスターのソケットを対象のボルトに叩き込んでいきます。この時、一度目は叩き込みが甘かったのか、ボルト側が鬼トルクだったのかはわかりませんが、まだボルトを外すには至りませんでした。この叩き込み作業が肝になります。
しっかりと叩き込みが出来たら、あとはいつものラチェットでボルトを緩める時と同様に緩めていきます。
一度目のトライでは叩き込みが甘かったのか、ボルトがビクともしなかったのですが、その後2度目の叩き込みでかなりしっかりと嵌めこみ、2度目のトライで無事外すことができました!
このボルトは13N・mとそんなにトルクをかけるべきボルトではないのですが、緩めた時の感覚では20N・mはゆうに超える締まり具合でした。やはりトルク管理はしっかりしないといけないですね。
先ほども書きましたが、他の方法では外せなかったかなりの強敵だったのですが、このソケットの使用で5分以内で外すことができました。実際に使用してみておススメだったので、もしどうしても外せないボルトやナットがある時は、是非にこの製品の使用を検討なさってください。
貫通ドライバー/グラインダーなどで溝を作る
なめてしまった場合のメジャーな対策として、新たに溝を作り直す、というものがあります。
例えば、貫通ドライバーやグラインダーが手元にある場合は、それら工具を使用して新たな溝を作ります。
なめたネジ専用ドライバーを使う
少し1つ目のものと似ていますが、なめたネジ専用のドライバーが発売されていて、特殊形状の先端部が新たな溝を作り出してくれる、というものです。
私も1度使ったことがありますが、これはなかなか効果がありました。
価格も1000円以下で購入できるものが多いですし、ホームセンターで売られているものもありますから、これに頼ってみるのもお勧めです。
使い方としては、このドライバーをなめたネジにあてて、このドライバーのエンド部をハンマーで叩いていくことで新たなネジ溝を作り出していきます。
私は下記のタイプを愛用していますが、とてもホールド感があって軽い舐め具合であれば難なく外すことが出来ており満足しています。
ネジザウルスを使う
今となってはとても有名なネジザウルス兄さんです。
なんだか気の抜けた商品ネーミングとは異なり、かなりネジ外しに効果があります!
一見すると、ただのペンチなんですが、挟む部分にネジ回し用に最適化された溝が彫ってあり、それがネジをがっちりホールドするんだそうです。
効果は、相当にあります!ネジザウルスが入れるスペースがある場合は、まず試してみると良いかと思います。
価格も、Amazonですと1500円~ということで、そこまで高いという訳でもないのでオススメです。
逆タップ(エキストラクター)を使う
ドリルでネジ/ボルト頭に下穴を開け、そこにエキストラクターを打ち込んで固定させ、最後にタップハンドルを使用して少しずつターゲットとなるボルトを抜いていく、というものです。
もともとのネジが硬くて/固着して外れないという場合にはあまり向いておりません。
また、このエキストラクターが折れてしまったりすると大変ですので、抜く際は力を入れすぎずゆっくり慎重に回す必要があります。
おわりに
昔は、ネジ頭やボルト頭をなめてしまったら…絶望に打ちひしがれるだけでしたが、現在は色々な対策があるようで安心しました。
私もバイク整備(特に古い機体)をしていると、どこかしら舐めたネジ/ボルト外し作業をすることになるので、こうした情報を溜めておくのは大事だなぁと思いました。
今回は以上です!
そもそも、舐めさせないための対策を打っておきたい、という方は、こちらの記事が参考になります。
他に、純粋に硬くて外せないボルト/ナットの外し方の記事はこちらになります。